統合報告書2025_和文
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体制構築など、必要な技術開発とともに構造改革を推進し総合力を向上させます。銅製錬では、歴史的低水準にある足元のTC/RC下でも、生産効率に優れ高いコスト競争力を持つ東予工場でフル生産を継続することがベストな選択であり、安定供給を続けます。材料事業で特に重視しているのは電池材料事業の再構築です。顧客ニーズの変化により正極材の品種転換が進む中、当社グループの強みが活きる分野で高品質な正極材づくりを行っていきます。 足元の当社グループは強い“向かい風”の中にありますが、供給過多の状態はやがて調整が進み、TC/RCも正常な水準まで回復すると見ています。カーボンニュートラルや中計27 エグゼクティブ・サマリー長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」実現に向けた正念場「ものづくり力」を高めて収益力を取り戻し、企業価値を持続的に向上していく基盤を再構築■ 「ものづくり」へのこだわり■ 資本コストや株価を意識した経営■ 株主還元の強化・充実■ コーポレートガバナンスxEV化、水素社会、AI化といった社会の変化を背景に、当社グループが手掛ける非鉄金属や高機能材料の活躍の場は今後ますます広がっていくでしょう。こうした将来を見越し、中計27では次の成長の準備にも積極的に取り組んでいきます。 例えば、JVパートナーとオーストラリアで進めているウィヌ銅・金プロジェクトやカルグーリーニッケルプロジェクト、当社が国内に建設中(2026年完成予定)のリチウムイオン二次電池リサイクルプラント、パワー半導体向けで高性能・低コストを両立できる貼り合わせSiC基板「SiCkrest®」、遮熱や光熱変換など多様な用途での使用、特に気候変動への対応に期待される近赤外線吸収材料「SOLAMENT ®」など、長期ビジョン実現に向けた挑戦を続けていきます。■ 電池材料事業の再建■ 逆風下での製錬事業運営(ニッケル、銅)■ 事業ポートフォリオ管理(ROCE経営の実践)■ 次の成長への準備■ インドネシアにおけるニッケル生産量の増加により、供給過多が長期間継続■ 銅精鉱の供給不足と銅製錬所の新規稼働による買鉱条件(TC/RC)の低迷■ 電池材料事業の環境激変■ 非鉄金属(銅/ニッケル)の需要は継続的に拡大。 ■ TC/RCも需要を満たす供給(生産)が維持できる水準までは戻る(2030年以降)■ カーボンニュートラル、xEV化、水素社会、AI化などの流れは確実視。材料事業製品の活躍の場が増加する供給も増えるが、価格水準に耐えられない供給者は淘汰される(2030年以降にバランス)■ サステナビリティマネジメント (重要課題と2030年のありたい姿、KPI)中計27期間(2025〜2027年度)の事業環境は「強い向かい風」中長期的な事業環境は「順風」シン・3事業連携のビジネスモデル 製錬事業を軸に3事業が連携して 持続可能なサプライチェーンを構築し、 サーキュラーエコノミーや カーボンニュートラル社会の実現に貢献 当社グループのビジネスモデルの特長は、「資源」「製錬」「材料」の3事業が連携している点にありますが、これまでは、ニッケル鉱石の確保から電池材料生産まで、一貫した自社内でのニッケルサプライチェーンをモデルケースとしてご説明してきました。これはどちらかと言えば、一方向的なサプライチェーンの流れを主軸に据えており、モノを加工し、製品にしてお客様に供給するという流れを中心に、その幹を太らせようというものでした。しかし、昨今の循環型社会への要請の高まりを受け、今後はリサイクルも含めて当社グループのプロセスの中で循環させながら事業を展開する必要性が増していきます。ビジネスモデル自体は変わりませんが、従来の「幹を太らせる」だけでなく、循環型の発想を織り込むことで、3事業連携の意味合いも進化し、新しいものになっています。シン・3事業連携のビジネスモデルの「シン」には、新しいだけではなく、進化、深化、真価、信頼など様々な意味が込められているのです。限りある資源の有効活用は、資源事業の永続性に寄与するものであり、サーキュラーエコノミーへの貢献は当社グループの重要な使命だと考えています。P.1529トップメッセージ足元の課題克服と並行し、長期的な目線で企業価値の向上に取り組む

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