統合報告書2025_和文
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「ものづくり力」の強化一貫して重視してきた「ものづくり力」を 製造現場だけでなく、 事業活動全体で磨き上げるる様々なノウハウを培ってきました。しかしながら、同じような災害が繰り返し起きているのが現状です。この要因の1つとして、積み上げてきた知見やノウハウが個々の従業員に留まってしまい、世代を超えた伝承が進んでいないことが挙げられます。つまり、人材の育成が進んでいないということと同じ意味であり、強い危機感をもっています。 この問題を解決するために、OJTなど実際に経験を積んでもらう機会づくりだけでなく、DXやAIなどデジタルを活用して、効率的なノウハウの可視化・共有も推進していきます。そこで大きな意味を持つのが菱刈鉱山の存在です。1985年に操業を開始した菱刈鉱山は、世界的にも高い金含有率を誇る、日本最大の金鉱山ですが、当社グループにとって単なる収益源にとどまらず、多面的な価値をもたらす重要な存在です。鉱山の開発から運営まで一連の実践を通じて鉱山技術者を育てる場であると同時に、重機の自動化や遠隔操作などDXの先端技術を積極的に導入し、アンダーグラウンド鉱山の厳しい作業環境下で安全性と効率性の向上を進めている現場です。こうした場を持つことが、海外非鉄メジャーからの評価にもつながっています。「ものづくり力」は競争力の源泉であり、持続的な成長を支える根幹「ものづくり力」の強化が、どう競争優位性につながるのか?A.3 当社グループでは、SMMグループ経営ビジョンにも掲げるように、一貫して「ものづくり企業」であることを重視してきました。私自身、製造現場が長かったこともあって「ものづくり」へのこだわりが強く、社長に就任してからも、競争力の源泉として「ものづくり力」を強化していくと訴え続けてきました。 私の考える「ものづくり力」とは、言い換えると「稼ぐ力」のことであり、中計27では、その強化によって収益力を高めていく考えです。ここで大切なのは、「ものづくり力」とは、決して製造部門だけで発揮されるものではないということ。研究開発部門やマーケティング部門、人事や経理といった管理間接部門、さらには経営層も含め、あらゆる部門の活動が「ものづくり」であり、事業活動全体で「ものづくり力(稼ぐ力)」を磨き上げることが、競争力の強化につながります。従業員一人ひとりが、それぞれの持ち場で改善意識をもって、創意工夫によって生産性を高めていく。その積み重ねが当社グループの持続的成長を支えていくと考えています。人的資本経営先端デジタル技術と菱刈鉱山を活かして 培った知見やノウハウを次代に受け継ぐ 「ものづくり力」を高めていく上で、私が最も重視するのが「人的資本」で、重要課題の1つにも「人的資本経営」を掲げています。 当社グループが求めるのは、従来の枠にとらわれない発想や、突拍子もないことを考えられる、ある意味“尖った”人材です。キャリア採用やキャリアチャレンジ制度を活用し、異なる分野から多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に受け入れることで、これまでの当社グループになかった発想を生み出し、新たなシステムや技術の創造につなげていきたいと考えています。一方で、大きな課題と捉えているのが「伝承」です。当社グループは、長きにわたる歴史を通じて、安全管理・環境管理・品質管理・操業管理などものづくりに関す30トップメッセージQ.3

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