統合報告書2025_和文
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 資本を効率的に活用してリターンを増やし、株主価値を最大化するためにはキャピタルアロケーションが重要であり、社内外の環境変化を見据えて、常に見直す必要があります。 中計27期間は、21中計期間とは異なり、高水準が続いてきた成長投資が一旦ピークを迎えることから、株主還元のキャピタルアロケーション 環境変化に応じて 適切な資本配分を実施するとともに、 ステークホルダーにしっかりと発信していくからの率直な評価だと重く受け止めています。中計27ではこの反省を生かし、我々が一歩踏み込んでJVパートナーと進めているプロジェクトをきちんと計画通りに立ち上げることや、これまで述べてきた戦略・施策の一つひとつを着実に遂行して成果の見える化を図ることで、企業価値を上げていきたいと考えています。特に、市況変動の影響が比較的少ない材料事業での利益を拡大することが、ボラティリティ対策としても有効だと考えています。強化を図ります。これまではDOE(株主資本配当率)1.5%を下限としていましたが、2.5%まで引き上げるとともに、機動的な自己株式の取得も検討します。 こういった株主還元の原資には、政策保有株式の縮減によるキャッシュインなどを充当したいと考えています。これまでも必要に応じて柔軟に縮減に向けた対応をしてきましたが、中計27では、資本効率追求の一環として、明確な方針のもとで計画的に縮減を進め、2028年以降に連結純資産比率10%以下を目標に売却を進めていきます。 こうしたキャピタルアロケーションの方針・戦略をしっかりと開示し、ステークホルダーとの対話の起点にしたいと考えています。あわせて、「シン・3事業連携のビジネスモデル」の独自性や強みについても、しっかりと説明していくことが、当社グループの将来性に対する理解を促し、ステークホルダーからの評価向上につながっていくはずです。資本効率の現状と見通しROCE経営の徹底により 資本効率の向上を図りつつ、 これまでの施策による収益の刈り取りに注力 当社グループでは、ステークホルダーから求められる「資本コストや株価を意識した経営」の実践が、経営基盤を維持・強化するための重要な要素と認識しています。 これまでも、連結自己資本比率50%超を目安に健全な財務体質を維持しつつ、ROCE(使用資本利益率)を重視した経営を推進することで、資本効率の向上を図ってきました。中計27もこうした財務戦略やROCE経営を徹底していきますが、厳しい事業環境が見込まれる中、計画最終年度のROCEは足元のWACC(加重平均資本コスト)6〜7%には届かない見通しです。 残念ながらPBR(株価純資産倍率)が1.0倍割れの状態が続いているのは、こうした現状に対する懸念に加え、21中計であれだけの戦略投資を行い、大型プロジェクトを進めてきたなかで、刈り取りが遅れていることに対する市場31トップメッセージステークホルダーからの評価をどのように高めていくのか?A.4資本効率の向上に努めるとともに、ステークホルダーとのコミュニケーションを強化Q.4

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