統合報告書2025_和文
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る面もあると考えており、社外取締役として有効な提言ができると思っています。た業務改革が不可欠だと思っています。お二人はいかがでしたか? 石井 私も人的資本経営に注目しました。21中計でも総合職人事制度の改正に取り組んできましたが、歴史の長い会社だけに変革が難しい面もあり、新しい制度に対しても受け取り方に温度差があります。いかに納得感のある制度にしていくか、継続的な検討が必要でしょう。木下 実際に中計の施策を遂行するのは社員ですから、その内容や意義を社員一人ひとりに腹落ちさせ、自分事として捉えてもらえるよう、丁寧に説明する必要がありますね。竹内 私が特に関心を持ったのは材料事業です。この事56木下 2024年度を一言でいえば、反省の多い一年でした。2021年中期経営計画(21中計:2022〜2024年度) の最終年度という、計画の成否がかかった大事な年度でしたが、残念ながらいくつかの目標は未達となり、株価も低迷を続けています。株価低迷の背景には、海外鉱山開発プロジェクトのスケジュールの遅延や、電池材料事業の減損に象徴される環境変化への対応の遅れなど、理由は色々と挙げられますが、やはり当社の成長戦略を資本市場や、投資家の皆様に理解いただけなかったことに尽きると思っており、取締役会の一員として責任を感じています。石井 木下さんが言われたように、海外プロジェクトの遅延などにより、ここ数年は閉塞感が続いていましたが、昨年末くらいから一段落し、ようやく長いトンネルを抜けたという印象です。いよいよ刈り取りの時期という期待がある一方で、足元の事業環境は厳しいものがあり、気が抜けない状況が続いていると認識しています。竹内 私は昨年6月から取締役会に加わりました。取締役会に対する率直な印象としては、もっと個々の事業について議論する機会を増やすべきではないかと感じています。食品会社でありながら電子材料事業という本業と異なる領域に携わってきた私の経験は、当社の材料事業と相通じ木下 竹内さんが指摘された議論の必要性については、実効性評価などでも伝えてきました。その甲斐あってか、中期経営計画2027(中計27:2025〜2027年度) の策定プロセスでは、21中計の課題や反省も含めて幅広い観点から議論できており、その点は評価に値すると思っています。例えば、PBR1.0倍割れに関連して、資本コストと株価を意識した経営の観点については、資本コストの現状などを討議事項として何度も議論し、中計27の策定にいたりました。石井 私も非常に丁寧な策定プロセスだったという印象です。議論の準備段階から丁寧な情報提供がされ、議論の機会や時間も十分に用意されましたので、その結果がアウトプットにも表れていると思っています。木下 策定にあたって特に重視したポイントが三つあります。まずは昨今、人的資本経営が重要だと言われているように、社員の成長を会社の成長につなげていくこと。次に、ROCE(使用資本利益率)経営による事業ポートフォリオの最適化。最後がデジタルトランスフォーメーション(DX)で、もっと社員に身軽になってもらうために、デジタルを駆使し新中期経営計画の策定プロセスにおいて社外取締役が果たした役割とは社外取締役それぞれが考える2024年度の成果と課題社外取締役鼎談

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