統合報告書2025_和文
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な組織風土づくりが期待できますので、前職での経験を活かしながら、「仕事は厳しいけれど楽しいもの」という意識改革に貢献していきたいですね。竹内 私も常々「仕事は楽しまないとダメ」と言っているように、やらされる仕事からはイノベーションは生まれて来ません。「自分が仕事をこう変えれば、世の中をこう変えていける」という発想で取り組めば、仕事は自ずと楽しくなるもの。当社はもともと優秀な社員が■っていますから、そうした姿勢で取り組む社員が増えれば、さらに伸びていくはずです。私自身、前職でも会社から「これをやれ」と言われたことはなく、本業とは異なる領域ばかりやってきました。先日、そうした経験を当社の若手に話す機会がありましたが、皆さん前向きに捉えてもらえました。私たち社外取締役に限らず、もっと社外の人間の話を聞く機会を増やすことも必要ではないでしょうか。石井 私も若手の女性管理職と対話する機会をつくってもらい、非常に前向きな意欲を持った方々が多いと感じました。今の時代、「持続的な成長」とは「変革」や「挑戦」と同義だと思っていますので、もっと若い社員の挑戦を、失敗も含めて許容する「懐の深さ」が必要だと思います。長い歴史があるだけに、変革しづらい側面もあるでしょうが、変えていくべきところは変えていかないといけない。特に若い世代には冒険してもらえるよう支援していきたいですね。資源事業や製錬事業に比べて市場の変化が激しいので、現場に権限を委譲しながら経営スピードを上げていきつつ、リスクマネジメントもしっかり効かせていくといった仕組みが求められます。竹内 まったく同感です。資源・製錬事業では銅やニッケルなど扱う商品が決まっていて、その品質や価格などを競っているのに対し、材料事業ではまず「どんな商品が求められているか」から考えないといけない。本質的にビジネスモデルが異なるわけですから、事業ごとに権限移譲して、それぞれの現場で意思決定するような仕組みにしていくのが当然でしょう。木下 もっと厳しく言えば、現状の当社の営業はいわば「御用聞き」になってしまっているのではないでしょうか。もちろん、お客様の要望を聞くことは大切ですが、特に材料事業では、自らお客様の役に立つ価値を創造し、提案する姿勢が求められます。そのためには、私が常々言っているように顧客接点、それも海外を含めた多様な顧客接点を増やすこと。経営層も含めてお客様と創造的な対話を積み重ね、提案活動を強化することで、会社同士のWin-Winの関係を築いていくべきでしょう。石井 資源事業については長い目で見てほしい側面がある一方で、お二人が指摘されているように、材料事業ではスピード感が問われるという難しさがあります。そうした当社ならではの事業特性を資本市場にご理解いただくためにも、より丁寧な説明が求められていると思います。58木下 厳しいことも言いましたが、私は住友金属鉱山という会社を非常に良い会社だと思っています。伝統ある会社だけに、従業員もまじめで実直ですが、一方で保守的な側面もあって「指示待ち」になりかねません。その点、中計27で人的資本経営の施策としてエンゲージメントの向上活動を取り入れたのは大きな進歩だと評価しています。エンゲージメントは自由闊達な組織風土と親和性が高く、自ら考え、責任を持って実行するというチャレンジを促せるよう今後の成長に向けてそれぞれが果たすべき役割を考える社外取締役鼎談

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