2024年度は2023年度に引き続きフル操業を継続しましたが、設備トラブルや原料不足などにより主要製品の生産量は計画値を下回る結果となりました。生産量の計画値未達を受け、販売量も計画値を下回る結果となりました。2024年度のトピックスは以下の3点です。① 将来のニッケル事業150千t-Ni体制構築に向けた原料確保の施策として、2024年5月にオーストラリアのカルグーリーニッケルプロジェクトにおいてDFS(実行可能性調査)を開始しました。② 銅精鉱の買鉱条件であるTreatment ChargeおよびRe■ning Charge(TC/RC)のスポットマーケットは、銅鉱山の操業停止や操業見通しの下方修正などによる銅精鉱の供給懸念に対し製錬側は旺盛な銅精鉱の需要が継続したことで、2024年4月20日に史上初めてのネガティブTC/RC(△4.3/△0.43)を記録しました。 TC/RCは製錬会社が受け取る加工賃を意味しており、 TC/RCは鉱山会社と製錬会社の収益配分の状況を意味しますが、当社が使用する銅精鉱の5〜6割は当社が権益を保有する鉱山由来であり、TC/RCの影響の5〜6割は、当社グループ全体では相殺されます。また、当社の銅精鉱の調達は長期契約が基本であり、スポットマーケットにおけるTC/RCの状況がそのまま影響することはありませんが、銅製錬事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。③ 2025年1月に当社はコーラルベイニッケル社(以下、「CBNC」)の株式をニッケル・アジア・コーポレーションから取得し、100%子会社化しました。また、CBNCはニッケル・コバルト価格の低迷、生産コストの上昇、鉱石品質の低下などの事業環境の悪化を踏まえ、将来の経済性を総合的に評価した結果、512億円の減損損失を計上しました。製錬会社の主要な収益源です。これがネガティブ(マイナス)であるということは、製錬会社がお金を払って製錬しているという異常な事態と言えます。しかしながら、ネガティブTC/RCの状況下においても、銅精鉱の需給環境は緩むことなく、2024年度末には△40.2/△4.02まで低下しました。製錬事業の競争優位性■ 世界に先駆けて実用化に成功したHPAL技術をはじめとする技術力■ HPAL技術とMCLE法の組み合わせによる高純度ニッケルの生産■ 当社が保有する海外優良鉱山権益やパートナー企業との信頼関係に基づく原料の安定調達■ 東予工場の高い生産能力、およびその継続的な拡大取締役 常務執行役員金属事業本部長竹林 優632024年度の概況社会を支える金属素材を高い技術力で安定的に供給製錬事業
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