統合報告書2025_和文
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 ニッケル事業は、当面は市況の悪化が見込まれますが、原料確保とプロセス改善および増産計画の具体化を進めます。既存のフィリピンのHPAL(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)で生産する中間原料のMS(Mixed Sul■de)に加えて、新たな原料として、オーストラリアにおける新規ニッケル鉱源の開発(カルグーリーニッケルプロジェクト)、や日向製錬所におけるフェロニッケルなどを原料としたニッケルマットの製造に取り組みます。 銅事業は電気銅増産(45万トン/年→46万トン/年)体制構築に向けた設備改善を継続し、ものづくり力を高め、生産性を向上させることで競争力を強化します。 また、GHG排出量の削減のため、一部工場での低GHG排出量の燃料への転換や、電力の非化石証書取得、低カーボンフットプリント(CFP)原料の増処理などに取り組みます。さらに、2024年に着工した使用済みリチウムイオン二次電池(LIB)を原料とする電池リサイクルプラントの建設を進めるとともに、サプライチェーン構築を進め国内外のパー銅リサイクル処理量14万トン/年体制構築主要プロジェクトのタイムライン銅製錬(東予工場)の競争力強化 脱炭素の潮流の中、EV、風力・太陽光などの再生可能エネルギーへの投資増加が予想され、送電ケーブルなどそれらの技術普及に欠かせない銅の需要は中長期的には大幅な増加が見込まれます。需要の増加に合わせ、中国や東南アジア・インドでの製錬所が順次立ち上がることから、銅地金の生産能力の増強が見込まれます。反面、新規鉱山開発の難易度が上がっていることから、銅鉱山の開発計画の件数は限定的で、足元の銅精鉱の供給不足は継続すると見込まれています。そのためTC/RCの回復には、まだしばらく時間を要すると想定しています。 ニッケルも、ステンレスやEV需要を中心に中長期的には需要の大幅な増加が見込まれます。しかしながら、短期的には中国・インドネシアでの供給増に加えて、需要面ではEV普及速度の鈍化から当面は供給過多の状況が継続する見込みです。そのためニッケル価格の上値は重く、回復には時間がかかると考えられます。 厳しい事業環境下において、生き残りをかけた収益構造改善を図ります。トナー企業との"電池to電池"の水平リサイクル実現による持続可能な循環型社会の形成に貢献します。ニッケル製錬:原料確保に向けた取り組み 当社がニッケル製錬の原料としているMSの工場であるフィリピンのCBNCは2005年の商業生産開始以降、世界に先駆けてHPAL法による低品位ニッケル酸化鉱からのニッケル・コバルト回収を商業的に成功させるなど、大きな成果を上げました。現在に至るまでコスト削減や生産性の向上に取り組み、当社のニッケル事業の主要な原料供給元と位置付けてきました。しかしながら、CBNCはプロジェクトニッケル事業の競争力強化FeNi構造改革CBNC生産能力増強リサイクル体制二次電池リサイクル6425年度46万トン/年体制構築DFS・FEEDプラント建設通常操業+生産終了に向けた各種検討ニッケルマット製造炉建設26年度稼働開始(最大1万トン/年)27年度中計30以降決定建設稼働開始生産終了稼働開始能力拡張カルグーリーニッケルPJ競争力強化に向けて中計27期間の主な取り組み中計27期間の事業環境認識中計27における事業戦略製錬事業

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