の先行きは不透明です。すでに中国では数年先の需要予測を上回る生産能力が整っているとの報道があるなど、市場は供給過剰の状態が顕著になっており、国内外でLIB関連の投資計画を見直す動きが見られます。 このような市場環境ですが、当社の電池材料(正極材)の販売数量は、2024年度もほぼ21中計の計画通りに推移しました。将来の需要増加期待に対応するため、当社は新居浜工場の立ち上げを進め、2024年夏には認定用サンプルを出荷し、2025年初めには顧客の工場認定を取得、同年春には月間1千トンの量産を達成しました。 今後は、従来の主力製品であるNCAから、Hi-Ni系NMC系製品への品種転換を見込んでおり、これに向けて、製品開発や量産プロセスの確立、転換工事の準備を進めています。 また、近年、LFP正極材は原料コストが安価であることに加えて、車両への搭載方法、急速充電技術が進展したことにより、市場でのシェア拡大が進んでいます。当社では、LFPについても製品開発や量産プロセスの検討を進めており、複数の顧客候補と協議を重ねています。電池材料事業の競争優位性■ 鉱石・製錬から電池材料まで一貫した自社ニッケルサプライチェーン■ 日系車載用LIBメーカーとの強いつながり■ 材料事業の技術蓄積を活かした新製品や新プロセスの開発力 車載用リチウムイオン電池(LIB)の世界市場は、これまで各国政府の補助金などの政策によって電気自動車(EV)の普及が進み、急速に成長してきました。世界全体の自動車販売に占めるEV比率は、過去数年間増加傾向で推移し、2024年第4四半期には15%に達しました。しかし、最近ではEVの需要がある程度満たされたことで、市場の成長ペースが徐々に鈍くなっています。 特に、欧州や北米ではEVの普及ペースが鈍化しており、各国で関連政策の見直しが進んでいます。たとえば、米国では2025年1月からEV義務化を廃止する大統領令が署名され、欧州ではドイツがEV補助金を停止し、フランスも補助金の対象を縮小しました。これらの影響で、EVの成長率が鈍化しています。一方、中国では2024年半ばに自動車の買い替えを促進する新たな政策が導入された効果もあり、EVの販売は引き続き増加傾向を示しました。 しかし、各国の貿易政策の影響もあり、xEV向けLIB市場執行役員電池材料事業本部長川田 宗一68これまでの技術蓄積を活かし、事業立て直しを図る2024年度の概況材料事業(電池材料)
元のページ ../index.html#69