伴い生産能力の低下が見込まれることから、2024年度末に電池材料事業で大規模な減損損失を計上しました。 正極材事業は、顧客ごとの開発や量産技術、専門的な生産設備など多くの参入障壁があるため、市場への新規参入は限られています。当社は、電池正極材事業の再構築に向けて、Hi-Ni系NMC正極材といったNi系の次世代製品への転換を着実に進め、これに合わせて設備改造を計画しています。次世代品への切り替えで一時的に生産能力が低下する見込みですが、量産技術の改善や生産体制の見直しにより、コスト競争力と生産能力の向上を目指します。さらに、Ni系正極材の開発だけでなく、全固体電池向け正極材や、LFP正極材の研究開発も進めており、幅広いニーズに対応することで将来の事業拡大につなげていきます。0(年) 2024年における世界のEV新車販売台数は1,096万台となり、完成車メーカー別シェアでは中国系55%、米国系21%、欧州系16%、日系3%。EVの販売先では中国向けが66%(710万台)を占めており、米国11%(127万台)、欧州10%(110万台)が後に続く状況です。 これまでEV市場の成長期待に合わせて中国や韓国を中心とした企業が、電池材料事業に新規参入し、各社積極的な生産能力増強投資を推進してきました。しかしながら、EV普及の初期段階の需要が一定程度満たされた結果、EV市場の成長率は鈍化し、一時的に市場全体が生産余剰の状態となっています。正極材市場も一時的な停滞期にあるとの見方がありますが、中長期的にはカーボンニュートラル社会の実現に向けた車両の電動化が進み、車載向けLIB市場は今後も拡大傾向にあると予想しています。 21中計期間において、当社は旺盛な需要に対応するため、社外リソースも活用して生産能力を拡大し、NCA正極材換算で年間6万トンの体制を確立しました。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)による省人化などを積極的に導入してコスト競争力を高めた新居浜工場の新設により、NCA換算でさらに年間2万4千トンの生産能力を確保し、2025年初めから稼働を開始しています。 しかしながら、今後、従来の主力製品であるNCAから、Hi-Ni系NMC系正極材への品種転換が見込まれ、これに主要プロジェクトのタイムラインHi-Ni系NMC正極材への転換次世代・全固体向け正極材量産準備設備投資/量産準備25年度26年度量産開始/生産性改善・コスト削減27年度中計30以降量産開始40,00030,00020,00010,000BEV・PHEV販売台数と全自動車販売に占めるシェアBEV・PHEV販売台数と全自動車販売に占めるシェア■BEV(左軸) ■PHEV(左軸) シェア(右軸)(千台)50,0000(%)504030201013131,8001,8002,7002,70088900900447,8007,8004,6004,60020212,0002,00020202022※ IEA Global EV outlook 2024とMarklinesのデータを元に当社で作成※ IEA Global EV outlook 2024とMarklinesのデータを元に当社で作成7,9007,9004040191936,50036,50016166,4006,4004,1004,10010,20011,10011,10010,200202320242030(予想)69中計27期間の事業環境認識材料事業(電池材料)
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