貼り合わせ基板事業の推進 シリコンカーバイド(SiC)は、電力の制御を行うパワー半導体に使用される半導体材料です。エネルギーの損失を低減できる優れた材料として、電気自動車向けを主として需要が拡大しています。10年後のSiCパワーデバイスの市場規模は年間4兆円超、SiCウエハの市場規模は年間6千億円超となる見通しです。 当社が製造する独自の貼り合わせ技術を利用した、貼り合わせSiC基板「SiCkrest®(サイクレスト®)」は、低抵抗多結晶SiCの支持基板の上に高品質な単結晶を薄く貼り合 SOLAMENT®は国内外に特許を持つ近赤外線吸収ナノ微粒子を使った素材テクノロジーです。可視光を透過しながら、温度上昇の原因となる近赤外線を吸収する機能を持っているため、明るさを保ちつつ快適な内部環境を実現するための素材として、自動車や建築物の窓ガラスなどでファラデーローテータ 当社グループの株式会社グラノプトで製造しているファラデーローテータ(FR)は、光を一方向にのみ透過させる光アイソレータに使用される光学素子です。光アイソレータはその特性から反射光によるレーザー損傷やノイズ影響を防ぐ機能を有しており、現在の光通信には必要不可欠な存在です。近年のモバイル通信および生成AIの発展による世界的なデータトラフィック量の増加に伴って、各国でデータセンターの新設が進められており、光通信における光源保護やノイズ低減の役割を担う光アイソレータの需要が急拡大しています。こういった需要に対応し、高品質なFRを確実に市場に供給し、世界的な光通信網の構築および光通信品質の安定化に貢献していきます。利用されてきました。 近年は、その特徴を生かして、アパレルや農業分野などでの活用も広がっています。例えば、農業用グリーンハウスの被覆用カーテンにSOLAMENT®を用いた繊維を使用すると、光合成に必要な光を透過しながらハウス内部の温度上昇を抑制するため、作物の生育が進み収量の向上や作業環境の改善が期待できます。新たな取り組みとして農業を豊かなものにするための方法を探るプロジェクト「Re Farm by SOLAMENT®」を始動し、北海道から九州まで複数の農家協力のもと、太陽光をコントロールする素材テクノロジーSOLAMENT®による遮熱効果の実証実験を行います。 中計27期間では、繊維・衣料と農業の2分野で認知拡大の施策を展開するほか、具体的な案件獲得にも力を入れ市場浸透を図っていきます。SiC(シリコンカーバイド)基板わせることによって、SiC単結晶の特性を維持しつつ、基板全体の低抵抗化と高強度化を実現しています。また、SiC単結晶は製造に多くのエネルギーを必要としますが、この技術は単結晶SiC基板1枚から50枚以上の貼り合わせSiC基板が製造可能なため、製造にかかるエネルギー消費を低減しつつ、供給量の増大が可能です。 中計27においては、2024年度に導入した8インチラインの拡張を進め、6インチラインと8インチラインの合計で月産約6千枚/月※の体制とし、拡販を進めます。また、貼り合わせ基板の市場への浸透を加速するため、貼り合わせ技術のライセンスと多結晶支持基板の販売も拡大していきます。 貼り合わせ技術を様々な形で市場に広めることにより、エネルギーの有効活用とGHGの低減に貢献していきます。※8インチ換算73中計27期間の主な取り組み太陽光をコントロールする素材「SOLAMENT®」材料事業(機能性材料)
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