アノードの表面に発生する「膨れ」は、生産性や品質の低下を引き起こす要因となります。これまでは一部を抜き取って目視で確認していたため、膨れが発生していた場合の対応が遅れるという課題がありました。 そこですべてのアノードをカメラで撮影し、リアルタイムでの画像解析を開始。膨れを自動で検出し、鋳型の温度などの鋳造条件が変化する中でも対策を講じることができるため、不良品の発生率が大幅に低減し、品質管理の精度が向上しています。銅精鉱の荷揚げ・サンプリング 銅製錬プロセスにおいて、精鉱の調合は自熔炉での反応性や後工程での品質を左右する非常に大切な工程です。これまでは調合計画を表計算ソフトによる手作業で作成しており、変更や修正の頻度も高いことから、担当者の負担となっていました。 こうした課題の解決に向けて、調合計画案を自動で作成するシステムを開発し、30時間/月の短縮を実現しました。さらには担当者による個人差も解消され、調合計画の精度が向上し、安定操業に繋がっています。海外から運ばれてきた銅精鉱を荷揚げし、サンプリングして成分を確かめた後、貯鉱庫に運びます。貯鉱庫にある銅鉱石を7種類程度組み合わせ、各種成分の品位が操業管理値内に収まるよう調合します。銅精鉱を組み合わせ調合調合した銅精鉱に二次原料などを混ぜ、適切な水分量になるまで乾燥させて、乾鉱庫に送ります。 貯鉱庫で保管される入荷した銅精鉱の在庫量をこれまでは目測で確認していましたが、誤差が生じやすく、計画していた精鉱が不足し、急な調合変更が発生するリスクがありました。 より正確に在庫を把握するため、ディストリビューター(精鉱を積み上げるための機械)にセンサーを設置。精鉱の山の体積を自動で測定できるようにした結果、正確な在庫量を把握できるようになりました。これにより、調合計画の精度が向上し、突発的な変更にも柔軟に対応できるようになります。自熔炉で生成したマットを、転炉でさらに精製し、銅品位98%の粗銅を作ります。鋳造されたアノードを電解処理し、銅品位99.99%以上の電気銅を生産します。東予工場では、海外の鉱山から運ばれてきた銅精鉱を組み合わせて製錬し、精製することで、電気銅を製造しています。当社のビジネスモデルの中核をなす東予工場におけるDXの事例を具体的にご紹介します。銅精鉱の調合銅精鉱を乾燥価値創造の中長期戦略乾燥した銅精鉱を自熔炉で熔解・酸化し、銅が濃縮されたマットと、鉄や珪酸を主成分とするスラグに分けます。貯鉱庫で保管される銅精鉱銅精鉱を熔解・酸化転炉で粗銅を生成アノードを鋳造生成された粗銅を精製炉に移し、プロパンガスを吹き込んで還元し、銅品位99%のアノードを鋳造します。アノード鋳造の品質向上電解処理で電気銅を精製98%99%99.99%アノード鋳造86デジタルトランスフォーメーション(DX)長期調合計画の半自動化試験導入を開始(東予工場のDX)在庫の自動測量銅製錬のプロセス1234567
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